歴史の無惨が語りかける日本近現代の暗部
下川 耿史著
新に発掘された写真があるわけではない。著者は言うが、こんな写真もあったのかと、読者はおそらく衝撃を隠せまい。中でも「凌遅刑」に処され四肢をバラバラにされた金玉均の無残な姿には目を見張らされる。日本軍の肝試しで刺殺される瞬間の中国兵捕虜の恐怖に顔をひきつらせる表情もある。江戸時代の「さらし首」、明治の斬首、大正の猟奇犯罪、関東大震災の朝鮮人虐殺、日清・日露・太平洋戦争下の無残な戦死者、そして戦後まで、170点の写真が収められた。
<中略>
「しかし“不法”ということでいえば、そもそもこの戦争はどうして始まったのか? 少なくとも中国軍が海を越えて日本に攻めてきたことが発端でなかったことだけは確かである。とすれば“不法”の種をまいたのはどちらだろう?」と疑問を投げている。